故人の人となりを考えて方針を決めます
 葬儀の具体的なプランや運営は葬祭業者に委任することが出来ます。しかし、軸となる葬儀全体の方針は遺族が決めなければなりません。葬儀には、故人が人生の中で縁を結んださまざまな人が訪れます。葬儀は、皆でしみじみと故人を偲び、心から悼む場でありたいものです。
故人の人となりを、いかに葬儀で表現するかと言うことが重要です。故人の性格や信条を思い起こしてみましょう。それをベースにして、葬儀の形式を決めます。故人が葬儀について希望していた場合には、それを尊重します。日常の些細なエピソードや、故人が常々言っていたこと、趣味なども、ヒントになります。例えば音楽を愛した人なら、式次第に献花や献奏をおり込み、BGMに故人の好きな曲を流す「音楽葬」にしてもいいでしょう。絵が好きだった人なら、式場の壁を故人が描いた絵で飾るという方法もあります。演出も過剰になると、反感を買う原因にもなります。しかし、ちょっとした工夫が、会葬者の心に訴える葬儀を作ることは確かでしょう。「あの人はこういう人だったね」と、会葬者が故人を懐かしく思い起こせるような葬儀になれば、故人はもとより、遺族も慰められ、いい葬儀となるでしょう。
信仰を持っていた場合はその宗旨で行いましょう
 葬祭の形式を考える上で、どの宗旨を選ぶかと言うことが基本になります。故人が信仰を持っていた人なら、その宗旨に沿った葬儀を行います。家は代々仏教を信仰しているが、故人はプロテスタントの信者だった、ということもあるでしょう。このように故人の信仰と家の信仰が違った場合には、故人の信仰を優先するようにします。日本人は特に信仰を持ってない人が大半です。ですから、仏教などの既存の宗教で葬儀を行うほかに、特定の宗教・宗派にとらわれない無宗教葬も選択肢の一つになります。
規模や形式に応じた式場を考えましょう
 式場をどこにするかは、葬儀の規模や予算、葬儀の形式を考慮し、葬祭業者と相談の上で決めます。式場には、自宅、寺院や教会、集会場や公民館、斎場(葬儀会館)、ホテルの5種類があります。通夜と葬儀を同じ場所で行わなければならないと言う決まりはありません、通夜は自宅で身内のみで行い、葬儀と告別式は斎場で営むということも出来ます。

●自宅の場合
 
以前と比べて、自宅で葬儀を行う人は少なくなりました。自宅での葬儀は、まずスペースが問題になります。葬儀を行うには、次のようなスペースが必要です。
・祭壇を飾る部屋。祭壇の前には僧侶が座るスペー
 スが必要になる。
・遺族が座るスペース、
・僧侶が着替えや休憩をする部屋。
・遺族や参列者が休憩や着替えをする部屋。
・会食をする部屋。
さらに、自宅がマンションなどの集合住宅の場合は、エレベーターに棺が入るかという問題もあります。人手も必要です。自宅を片付ける係、駅の改札や順路の要所に立つ道案内係のほかに、会食の支度や後かたづけにも人手が必要になります。近親者だけの場合を除き、近所の人や会社の同僚に、こうした手伝いをしてもらえるかどうかを前もって打診しておくことが大切です。
●寺院や教会の場合
 寺院で葬儀を行いたいときは、まず檀那寺に相談します。檀那寺が遠隔地にあったり、スペースの問題で葬儀を営むのが不可能な場合は、同じ宗派の寺院を紹介してもらうか、宗派を問わずに利用できる寺院付設の式場で行います。故人がキリスト教徒であれば、葬儀は原則的に教会で行うことになります。神道の場合、一般的には神社内での葬儀は出来ないところが多くなっています。
●集会所や公民館の場合
 団地やマンションには、集会所として使われているスペースを、住民に開放しているところがあります。また、地域によっては、公民館やコミュニティーセンターを葬儀に利用できるところもあります。自治会や役場に確認してみましょう。だだしどちらも、自宅で営む場合と同じく、人手の確保が必要になります。また、焼香やマイクの使用を禁止しているところもあるので、事前によく規定を確認しましょう。

●斎場の場合
 
費用はかかりますが、設備やサービスの点で優れているのが斎場(葬儀の専門式場)です。利用者も年々増える傾向にあります。飲食の準備や片づけなどをする必要がないため、遺族の負担を軽減してくれます。斎場には、自治体が運営する公営のものと、葬祭業者や寺院などが経営している民営のものがあります。いずれも業者を通して申し込みます。斎場を利用するときは、次の点を確認しておきましょう。
・交通の便・・・自宅、駅、火葬場からの距離。
・部屋割り・・・隣の部屋の音が聞こえたりすることはないか。
・利用時間・・・利用時間はいつまでか。その時間には後かたづけの時間は含まれるのか。通夜の 後に遺族が泊まることは出来るのか。
●ホテルの場合
 新たな葬儀の式場として、利用され始めたのがホテルです。一般に交通の便がよいことや、駐車場を完備していること、バラエティーに富んだ料理、サービスの質が高いと行ったメリットがあります。遠方から来た弔問客の宿泊はもちろん、貸衣装や案内状、香典返しなどの手配も依頼できます。欠点は、多くの場合、遺体の搬入ができないことです。また一般的に、焼香や木魚を使用した読経は出来ないといった規制が、多くなっています。料金も高めになります。遺体の搬入が出来ない場合は、先に火葬して、遺骨で葬儀をすることになります。

Tokyo Hakuaisha

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