経帷子や浴衣に着替えさせます
 納棺に先立って、故人の衣類を着替えさせます。着替えは死後2時間以内に、死後硬直が始まる前に行うと容易です。
かつて仏教葬儀では、巡礼姿の死装束を施しました。故人とゆかりのある女性の手で縫われた「経帷子」と呼ばれる着物を着せ、脚絆、白足袋、わらじ、手甲を身につけます。経帷子は左前に着せ、足袋やわらじは左右逆に履かせるなど、ふだんとは逆にします。経帷子は、死者は仏教徒として修行する、という姿を表すためのものです。しかし、浄土真宗では、経帷子を用いず、浴衣などに着替えさせます。神式、キリスト教式では、死者の衣服については自由です。
 最近では、経帷子を着せることは少なくなりました。新しい浴衣や、故人が生前愛用していた服を着せることが多くなっています。経帷子を使うときも、浴衣を着せた上からかけるというケースが多いようです。故人が、生前に希望していた服があるなら、それを着せてあげます。
通夜の前に
遺体を納棺する
 通夜の前に、家族そろって遺体を納棺します。納棺したら、柩を祭壇に安置し、居合わせた人で焼香します。

●神式の場合
神式では納棺のことを「納棺の儀」と呼びます。柩を表座敷の祭壇に安置したら、供え物をして拝礼します。納棺してから出棺までの間には、毎日朝夕(もしくは毎朝)、常饌あるいは生饌を供え、拝礼します。これを「柩前日供の儀」といいます。
●キリスト教式の場合
キリスト教式の納棺(納棺式という)は、神父や牧師の立ち会いのもとで行われます。柩を祭壇に安置した後は、一同で祈りを捧げ、聖書を朗読し、聖歌(賛美歌)を歌います。
 かつては納棺の際に、故人が生前愛用していた品を、一緒に副葬品として納める風習がありました。しかし、副葬品が多いと、焼却の際にダイオキシンなどを発生させる原因となるため、最近では、環境保護の観点から、棺には副葬品はできるだけ入れないように進められています。故人を、死後も愛用品と一緒にしてあげたいなら、火葬後に遺骨と一緒に骨壺に納め、墓に入れてあげるようにしましょう。
●死装束の例●
死装束の例

Tokyo Hakuaisha

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